俺様王子の秘密

結局、遅刻はなんとかまぬがれたあたしだけど……

「ヤバイ……。迷ったかも……」

あたしは、知らないところにいた。
いや、学校内にはいるんだけど、今自分がどこにいるかが分からない。

近くに音楽室とかがあれば、また状態は別なんだけど……そこには特別教室と言った感じの部屋は見つからない。
さっき上がって来た階段も、どっちの方面にあったか分からない。

つまりあたしは、極度の方向音痴だ……。

「どうしよう……入学式、始まっちゃう……」

入学式は8:30から始まる。今、時計は7:45を指していた。

「もう……やだ」

あたしの高校生活、大丈夫なのかなぁ? 本当は、友達同士でどっか行ったりするのが理想だった。
だけど、現実はそんなに甘くもなく……。

「もう最悪……」

目に涙をため、あたしの心は、折れかけていた――。


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