春 ~風が吹いたら~
あたしたちは挨拶をしたあと、療養施設に向かった。
トントン!
ドアをノックした後、潤悟はあたしを連れて、中に入った。
『和羽。大学、ちゃんと通ってるぞ!』
和羽ちゃんは目は開いているが、動かない。
『初めまして、菊原 華恋です。』
あたしは…気まずかった。
綺麗で可愛くて……和羽ちゃんは、潤悟の彼女だった人。
別れるなんて話もしてないんだから、和羽ちゃんは彼女…だともいえる。