春 ~風が吹いたら~
あたしは、多くのものを得た。
でも、多くのものを失った。
ずっと一緒にいるうちに好きになっていた、仁のこと。
心配してくれる友達。
あたしには、仁に好きだと伝える勇気なんてなくて、仁は守ってやりたくなるような女の子らしい女が好きで、あたしみたいに強い女を心配する友達もいなくなった。
友達は皆、
『さすが、華恋!』
『やっぱ、かっこいいね~!』
口を揃えてそう言った。
『今日は…舞香を助けなきゃ。』