春 ~風が吹いたら~
『菊原が顔……』
『何でもない。じゃあ!あたし、仕事中だから。』
あたしは女子トイレへと駆け込んだ。
鏡を見ると、あたしの頬には赤い筋が入って、軽く血が滲んでいた。
あたしはそれを水で洗い、トイレを出た。
『華恋…。』
『まだいたの?仕事が休みの時くらい、他のところでゆっくりしたきたら?』
『怪我って?』
『怪我?何のこと?あたしは忙しいから、行くねぇ。こんなことしてたら、クビになっちゃう!』