明日が欲しい
その後,別の話題を持ち出して,今度家に行く日を約束した時、下から母が食事の準備が出来たとの声で僕達は1階に降りた。
父が珍しく早く仕事から帰って来ていた。
そう言えば世間一般は夏休みだから、父の仕事も早く済むのだ。
父は英・数補習塾を経営しており、夏休みは,生徒達も学校が無いから夕方には仕事も終わるのであった。
食事が終わって,チョットしてから二人でバス停まで歩いて行った。
バスが来るまで色々話しをしながら時間を潰した。
バスが来て,一緒に乗り込み彼女の住む栗林町までの30分間をドライブで楽しんだ。
停留場について,目の前が彼女の住む団地である。
階段を上りながらも彼女の体を心配して,少し後ろからのぼった。
何時貧血を起こすかもしれないし,今日は特に炎天下の下で1時間以上いたのである。
無理をさしたことを悔やみながら彼女の家のドアの前に着いた。
両親に挨拶をしてから別れを告げた。
先ほどのバス停について暫くすると最終の便が来た。
殆ど誰も乗っていないバスの中は,まるで僕の心の中を自分で覗いてでもいるかのようにひんやりとしてガランとしていて,明日が見えない状態に憤りを感じたあの日のようであった。