明日が欲しい

≪エピソード 4≫





彼女の症状も落ち着いて,暫くしてから学校へも行き出した。


演劇も順調に練習に参加できてたし,小さな舞台を5~6回こなして行く内に,何時の間にか準主役も手に入れた。


これからが本当の意味で演劇が面白くなってくる頃にその事件は起きた。


中3の春,新学期を迎えて遂に主役が回ってきたのである。


演目は【ピーターパン】である。


勿論,ピーターパン役は香織である。


関西弁で行くのかと思いきや,全て英語での芝居である。


部長から


『香織,頑張ってな!』


と励まされて本人もかなりやる気に成っていた。


しかし,不幸が彼女を襲った。


ゴールデンウィークも済んだ在る日,舞台でのリハーサルの途中,香織は急に鼻血が出て,暫く休んでいた。


でも,そのうちに意識を無くしてしまったのである。


部員が先生を呼びに行き,その後私の所へ先生がやって来た。


『木村さんが倒れた。

何処の病院へ行けば良いんだ?』


と。


私は,ブラスバンドの練習を取り止め,すぐに彼女と一緒に病院へ向かった。


先生の車に彼女を乗せて,病院へ着いた時には既に,連絡を受けた彼女のお母さんが来ていた。


すぐに院長先生が診察を始めたが2時間経っても診察室から出てこなかった。


そうしている内に看護婦さんが出て来たので,


『彼女は?』


と聞いたが,


『今診察中ですが,彼女は眠っていますので,暫く時間が掛かります。

後は先生に任せて,今日の所はお引き取りください。』


としか言ってくれない。



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