明日が欲しい
翌日,私は学校を休んで香織を見舞いに行った。
香織はICUでバイタルを取った後,点滴による抗生剤の投与,それが終ってから輸血を行うから2時間近く会えないのであった。
それまで,週刊誌でも読もうと待合室へ行ったら,そこには小さな女の子が居た。
『ここに入院してるの?』
『うん!』
『何処が悪いの?』
『私ね,血が止まらないの。』
ショックであった。
この子は血友病であった。
こんなに小さな子も頑張っているんだと思い胸が痛くなった。
暫くその子と話をしていたら,女の子のお母さんが薬を貰って戻って来た。
軽く会釈をしてから,女の子と手を繋ぎ帰って行った。
昼前になって,私はICUが在る病棟へ戻った。
そこには,すまなそうな顔をした香織が居た。
朝から何も食べてないのでお腹が空いたと文句を言っていた。
チョットは元気になったみたいだ。
『なぁ浩!
演劇の練習がしたいねんけど,いつ帰れるんやろか?』
『なんか知らんけど,当分帰る事は出来ないって先生が言ってたで。
舞台って何時だったかのぉ?』
『来月の頭に有るんや!
もう20日しか無いんやから,早う帰らせて欲しいわ!』
『なぁ、香織。
今回は諦めないかんで。
なんか体調崩しとるから,激しい運動したらいかんし,立ちっぱなしで舞台をしてて,貧血起こしたら困るやろ!』