明日が欲しい
『うちやったら大丈夫や!
折角の主演やから気張り過ぎただけや。
心配せえへんでも大丈夫。
うちは出るでぇ。早うここ出ようや。』
『あほ言うたらいかんが!
そんな事したら院長先生に怒られるぞ。
また今度があるがな。今回だけ諦めようや。』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
『判ってくれた?』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
『しゃぁないやんか!
泣くなよ。
今は大人しくして体直して,早く退院出きる様に頑張ったら次の舞台に出れるがな。
なぁ,判ったな!』
『うん。』
小さく頷く彼女の手は小刻みに震えていたが,何も声を掛けて上げられなかった。
声を掛けたら、自分まで泣いてしまいそうになるから。