明日が欲しい




気分を変える為に窓を開けた。


未だチョッピリ寒い風と,暖かい風が入り混じった様な夕方,遠く沈む夕日で山が燃えている様な感じである。


彼女の方にカーディガンを掛けてやりながら,そっと肩を抱いた。


とっても痩せていて,今にも折れそうなくらいである。


最近は週に2度ほど輸血を続け,後は薬を服用している。


そのおかげで、発病してから一時危ない時も有ったが,今は安定している。


その時私はそう思っていた。


6月に入り,遅咲きの桜も散ってしまった頃、その時はやって来た。


いつもの様に学校の帰り彼女の家に行き,少しの間でもと顔を見せ,また明日と言って別れた私は,明日は日曜日なので久しぶりに彼女のお父さんに頼んで,近くの公園へ散歩に行く事を許してもらった。


30分だけと言う約束で。




< 56 / 62 >

この作品をシェア

pagetop