明日が欲しい
翌日,私は彼女と二人で団地の隣りに有る公園をゆっくりと歩き,そしてベンチに座って外の空気を満喫して家に戻った。
たった30分でも彼女は喜んでいた。
しかし疲れが出たみたいなので,彼女はベッドに横になってそのまま眠ってしまった。
私は彼女の横でじっと寝顔を見ていた。
何時間経ったか解らないが,外が暗くなって来たので、私は挨拶を済ませて帰る事にした。
そっと部屋を出ようとした時,彼女は目を覚まして,
『今日は有難う。
とても楽しかった。
今度は何時行けるかなぁ!
こっちに来て。』
と彼女は手招きをしたので,私はベッドの横に座った。
彼女が目を閉じたので,そっと口付けをして彼女の肩を抱きしめた。
香織の目から、涙が流れたのと同時に彼女の手から力が抜けて行くのが解った。
そして、小さな声で最後の力を振り絞るかの様に
『ごめんね。』
それが最後の言葉だった。