明日が欲しい
これで、香織お姉ちゃんと森川のお兄ちゃんのお話は、一旦終わります。
気が付いたら、あれから10年経ちました。
私は、アナウンススクールを卒業してから、新宿にある
《新星グループ》
のアナウンス部で、アナウンサーとして頑張っています。
本当は、関東TVのアナウンサーに成りたかったんだけど、アナウンススクール在学中にアルバイトしていた、新星MUSICの社長さんが、
「うちで働かないかい!?
うちのアナウンス部も、募集しているんだよ。
君なら、立派なアナウンサーになれる。
僕には、君が沢山の人の心を救えるアナウンサーになれるのが見えるんだ。」
なんて言うもんだから、思いきって新星MUSICのアナウンス部に入社したんだ。
新星MUSICの社長さんって言うのが、新星グループの会長さんだって知ったのは、入社してすぐだったけど、メチャクチャ驚いたんだから。
それから、森川のお兄ちゃんなんだけど、あの後お父さんが心筋梗塞で亡くなって、今はお母さんと一緒に岡山で住んでいるんだって。
お姉ちゃんの事を吹っ切れたみたいで、外国の女性と結婚したって、パパに来た手紙に書いてあった。
良かったね! お兄ちゃん。
香織お姉ちゃん、天国で私達を見守っていてね。
私も頑張るから。
沢山の人の役に立つ、立派なアナウンサーに成るからね!
骨髄バンクへの登録人数も、毎年増えているからね。
私、お姉ちゃんの分も頑張って生きていくから。
お姉ちゃんが、欲しくても、手に入れられなかった明日の為に…………。
《完》