ボーイフレンド
徹ちゃんはそれから本当に飲み会を企画してくれた。
知らない人ばかりの飲み会も、徹ちゃんがいると思うとなんだか安心で、あたしは相変わらず100%の出席率で参加した。
「聞いてたけど、里歩子ちゃん、マジでノリがいいね」
そう言ったのは、鈴木君。
あたしが焼酎をロックで飲んでいると、鈴木君が「俺も飲もうかな」と言って同じものを注文したところだった。
グラスを軽く合わせながら、
「酒も強いしさ。さすが、徹ちゃんの師匠」
「し、師匠!?」
鈴木君の言葉に、口に含んだ焼酎を思わず噴き出してしまいそうになる。
「『酒は割るな、ロックで飲め!』ってね」
徹ちゃんが割って入ってきた。
「えぇ!? あたしそんなこと言ったっけ」
「言いましたよー。俺はその教えを守って、ずっとロックなんだから」
そう言って、焼酎ロックのグラスを上げる。
「言ったっけかなぁ…」
あたしが首をかしげて記憶をたどっていると、
「でも現に、ロックじゃん」
鈴木君はおかしそうにあたしのグラスを指して言った。
「確かに」
グラスを傾けると、氷がぶつかって、透き通った音がした。