引っ込み思案な恋心。-2nd





もしかしたら、これ以上のことをされるかもしれない。






そんな事態まで頭をよぎり始めていたから、私は少しだけホッとした。






「うん…」






あんまり人通りはなかったけど、ここも一応道端。






見られたらどうしよう…とか、恥ずかしい…とか





色んなことを考えたけど、太陽の匂いが混ざった夏の香りを拓の身体から吸い込んだら、私もしばらくこのままでいたいと思った。






心臓のドキドキは、更に大きくなっていく。






こんなに近い距離にいたら、拓にもこの鼓動が聞こえているかもしれない。






だけど…



そんなことよりも、この、夏の暑さで少しほてった身体に抱きしめられていることの方が幸せだと思ってしまった。






たぶん、それ以上のことをされそうになったら、緊張の方が勝ってしまうと思う。






だけど…




あと少し。




ほんの少し。






拓に一番近い場所にいたいと思ってしまう私は…





おかしくなってしまったわけではないよね…?












「………ごめん、俺のワガママに付き合わせて」



「ううん…」






そうやって…、どれくらい抱き合っていたか分からない。






更に太陽が地平線に近くなったとハッキリと分かるほどの時間が経って、拓がゆっくりと私の身体を離した。





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