引っ込み思案な恋心。-2nd





「まあ…、柚達のペースでいいけどね。あのビンタ事件はなかなか尾を引いたし…」



「思い出さなくていいよ、映美佳…。そろそろ帰ろう?」



「はははっ!柚、赤くなってるよ?」



「もー、からかわないで…」






思い出したくないことを映美佳の言葉で思い出しちゃって、途端に恥ずかしくなった私は急いで机の上を片付けて教室を出た。






廊下に吹き込む冷たい風を感じて、思わず身震いした。






「待ってよ、柚。もう言わないから。一緒に帰ろ?」






慌ててカバンからベージュのマフラーを取り出して首に巻くと、慌てた様子の映美佳が追いかけてきた。






廊下には何も落ちてないハズなのに、ちょっとコケそうになった映美佳を見て思わず笑ってしまった。








映美佳も同じクラスになってから、だいぶお茶目で可愛い行動を取ってるような気がする。






私に友達がいなかった頃なんて、本当に私の親以上に保護者してて、しっかりした言動しか見たことなかったけど……





これも私が少しは成長した証拠なのかな?





…そうだったらいいな。







私は追いかけてきた映美佳に微笑んで、一緒に並んで歩き出した。












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