引っ込み思案な恋心。-2nd
拓的には、何とか私に分かってもらおうと、言葉を選びながら遠回しに言っているつもりなんだろう。
でも私は…、この心臓のドキドキが拓に聞こえてるんじゃないかと思って、『ドキドキ、止まれ!』って思うことで精一杯だった。
だから、早くハッキリ言ってくれないと分からない。
「だから…、私のことを怒っているわけじゃないってコト…?」
「ああ、そう。俺、、、俺さ…」
「うん…?」
すると、拓の2本の腕がしっかりと私の背中に回り、私と拓の距離は更に縮まった。
ウソ…?
私もしかして…、今、拓に抱きしめられてる……っ!?
「せっかく二人きりになったから、もっと柚の近くにいたい」
「たっ、拓…?これ以上近付いたら…苦しいよ」
そんな私の言葉なんて聞こえていないかのように、拓は更に、私の背中に回された腕に力を入れた。
「柚…、俺、もうダメかもしんねぇ」
「……何がダメなの…?」
「何…というか、欲望?もう無理だ…」
「え?それって……?」
さすがに頭が回らなくて鈍感な私でも気が付いた。
これ以上拓と距離が近付いたら………、
キス、、、しちゃうよ……!!
「柚、俺…、柚のことが好きなんだ。好きすぎるんだ」
「ちょちょちょ…、ちょっと待ってよ」
「待てるわけねーだろ。俺の我慢もマジで限界かも…」
その時、背中に回されていた腕の力が少し弱まった。
…と思ったら、目の前に拓の顔が迫っていた。
すごく、真剣な表情だった。
怖いくらい…、こんな拓の顔、見たことないよ。
どうしよう。
本気で怖くなってきた。
……無理だよ。