引っ込み思案な恋心。-2nd
「でも…、今の俺の言葉を『適当』と取るかは杉田次第ってトコだな」
さっきまでの勉強会の時の楽しい雰囲気とは全然違う。
今、私と倉本くんは二人きりで。
静かな空気だけが教室に流れてて。
ツッコミ役すらいない。
倉本くんは私次第なんて言ってるけど…、これ以上『適当』だと取らなきゃいけない理由が…私には見つけることができない。
「…杉田。もし俺の言うコトが本気だと思うなら、返事ちょーだい」
「返事なんて…、私、拓と付き合ってるんだよ?」
「あぁ。だから、乗り換えないかって話。杉田このまま拓と付き合ってても、距離は離れるばかりだと思うけど」
「何でそんなこと、倉本くんに分かるの…?」
「さあ?……でも、これだけは確実に言える」
一歩だけ…、倉本くんが、座っている私に近付いた気がした。
表情は、ずっと真剣なまま。
「俺は拓と違って、杉田を悲しませるようなことはしない。らしくない杉田なんて、もう見てらんないんだよ」
それこそ倉本くん『らしくない』その一言が、ものすごく重く感じた。
きっと……本当は、この言葉を拓に言ってほしかったんだと、倉本くんに言われてから思った。
だからこそ、重い。
さっきからの倉本くんの一言一言が本気だったんだと、一気にそう信じられる言葉だった。
「…そんなコト言うなんて、…反則だよ………」