迷い猫


「李桜のさ、家族の事とか。
 今は無理に聞こうなんて思ってないから...」



「.....ん」




「李桜が俺に話したくなったら話して?」




思い出したくない私の過去。
いや...現在進行形なのかもしれない。




だから私は逃げ出したの。
だって私は...李桜だから。




「李桜が行く所無いんだったらここに居ていいし」



...なんでこう、アオは優しいんだろう。
今日初めて会った筈なのに。



こんなに私の事
真っ直ぐに見てくれた人は
アオが初めてだ。



16年間生きてきた中で
私の事をちゃんと李桜って
呼んでくれたのはアオが初めてだ。



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