漆黒の姫君
一章




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「ん…?」

太陽の眩しさに愛里はゆっくりと目を開けた。




_…ここは、どこ?



青々と茂った草原の中に愛里は一人横たわっていた。周囲を見回すが、建物らしきものも見えなければ、愛里が落ちたはずの崖も見当たらない。





_そう言えば私、崖から落ちたんじゃ…。足以外何処も痛くないし、落ちた公園じゃないよね、ここ。




落ちる前に捻った足を見ると赤く腫れていたが、他のところには掠り傷一つない。愛里の頭に本当に自分は落ちたのか?という疑問が出る。

しかし、しっかりと覚えているのだ。襲いかかってきた男、バランスを崩して崖から落ち、体を浮遊感が包んだ事も。





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