はつこい―君が笑ってますように。―
「ただいま、東くん。
珍しいね、早かったの?」


「ああ、ノー残業デー。」


やっぱりテレビから目を離さない。

散々その映画、
つまらないって言ってたくせに。



しかも、東くんの会社にそんなのあったの、
初めて知った。

きっとこれまでは、家を避けてたんだ。

そして今日は、
きっと油断したんだ。

私は予備校で遅いだろうって。



やっぱり東くんは、不器用だ。

昔から、そうだった。


だからこそ、
不器用なくせに
器用に振る舞おうとする私を見て、
「無理しなくて良い」
って言ったんだ。



私の頭は、
破裂しそうで、

「逃げないでよ、
東くん。」
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