はつこい―君が笑ってますように。―
振り向くと、
康くんがいた。

学校帰りだろうか。
懐かしい制服だ。


「別に。」

私が微笑むと、
近寄ってきて、

「彼氏、出来たの?」

と聞く。


意味がわからない、
という顔をしていると、


「バスケ部の、笹本。
噂で聞いた。」


私はやっと、合点がいって、答えた。

「付き合っては、ないよ。
そうした方が良いかな、
とは思うけど。

康くんは?
わかなちゃん…だっけ?
中学からの同級生の。」


「…満島葉奏(みちしま・わかな)?
あの子は…駄目だよ。
俺も、好きな人がいるから。」
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