永遠の約束-聖母の涙-











「あら、深青さん。それ…」


「え…?」





 深青は真理亜に指された場所を手で触れる。


 すると、微かに何かが指に触れた感触。


 深青は自分の指を顔から離すとその指を見た。


「あ…」





 全く気づかなかったが、そこには、微かに血が付着していた。


 だけどそれも、大量ではなく拭けばすぐに消えてしまいそうなほどに微量のものだった。





 恐らく、先ほどの女生徒を助けた時に何かの拍子に傷ついたものなのだろう。


「ま、まままま…」


「ま?」





 可笑しな言葉を連発する真理亜に、深青は首を傾げながら見た。


 すると、ムンクの叫びのような形相で

「まぁ~~~っ!!!」

と教室が響くほどの大声を上げたのだった。


 まさか、いつも慎ましい真理亜の口からこれほどの大声が上がるとは思わなかった深青は、ただ椅子に座った状態で体を仰け反り、目を見開いていた。


「大変ですわ! すぐに手当てをしなくては!」


「そ、そんな大げさな…。これぐらい…」


「ダメです! お顔ですよ! 

もし、痕でも残ったらどうされるんですか!」


「え~…?」





 たかが、これしきの傷で痕が残るなんてことはないと思うけど―――…






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