KISS AND SAY GOOD-BYE
韓国サイドで社長が、一触即発のにらみ合いをしていた頃
日本サイドでは獨孤 美栄(トッコ・ミヨン)氏のプロデュース兼マネージメントを任された桧山主任と滝本さんは、河野次長と共に獨孤 美栄(トッコ・ミヨン)氏を空港に迎えに行き、そのまま新星MUSIC日本支社まで遣ってきた。
様々な打ち合わせが終わり、四人で食事を取ってから、彼女を日本での居住区となる寮へと連れてきた。
4階のワンルームタイプの部屋に案内して、細かな注意点などを説明してから、その日は解散となった。
翌朝、俺は玄田課長と河野次長に企画書を提出した。
『これは、うちの部内では承諾しかねるわねぇ。』
『これは、社長か支社長の了解を得ないと無理だよ桧山主任。』
「分かりました。
今、社長は韓国本社におられるので、李支社長に通してみて頂けますか!?」
『まぁ、良く出来た企画書だから、通すのは構わないけど、駄目だとしてもガッカリするなよ。』
「はい。
大丈夫です。」
それから2日後、李支社長から直々に呼び出された。
『桧山主任、李支社長がお呼びだ!
こないだの企画書の件だとは思うんだが、今すぐ支社長室に行きなさい。』
「はい。畏まりました。」
俺は、エレベーターに乗り5階の社長室の手前に在る支社長室へと向かった。
扉の無い入り口をくぐって中に入ると、支社長室の手前にはカウンターが有り、その内側には30代前半くらいの、仕事の出来そうなザ秘書!って感じの女性が受け付けも兼ねて座っていた。
『営業3課の桧山主任ですね!?』
「はい、そうです。」
『支社長がお待ちになられておりますので、中にどうぞ!』
「はい。」
と言って、カウンターの横の重厚な扉をノックした。
すると中から、
『はい、どうぞ!』
と、李支社長の声が聞こえたので、そぉっとドアを開けてから、
「失礼します。
営業3課から来ました主任の桧山と申します。」
と言って、90度の最敬礼をした。
『良く来たね!
まぁ、そこに座りなさい。』
「はい、失礼します。」
促されるまま、ソファーに座り、李支社長からの言葉を待つ。
『企画書を読ましてもらったよ。
全く、とんでもない事を遣ろうとしてるなぁ。
無理だとは思わなかったのかい!?』
「厳しいなぁとは思いましたが、無理だとは思いませんでした。」
『一応、今回の獨孤 美栄(トッコ・ミヨン)氏の事は、高(コ)社長から聞いてはいるが、この企画書を私がOKを出したところで、彼女がそれを遣れるかってところが問題だ!
そこのところはどうなんだね!?』
「はい、それについては彼女の方からはOKを貰っています。
そして、必ず成功させると言っております。」
『それにしても、毎回毎回突拍子も無いことを思い付くなぁ。
よし、遣ってみなさい。
各部署には、私から広報を通じてきちんと通達しといてあげるから。
その代わり、途中で投げ出すような無様な結末だけは見せてくれるなよ‼』
「了解しました。
ありがとうございます。」
『それで、いつからスタートするんだい!?』
「取り敢えず、枠は今までの所をそのまま使わせて頂くとして、実際に撮影に入るのは2月の頭を予定しています。」
『そうか!
それじゃあ、それまでしっかりとレッスンをさせるんだね。』
「はい、そうです。」
『じゃあ、それと平行して日本語の勉強もちゃんと遣らせとくんだぞ。』
「畏まりました。」
支社長室を後にした俺は、支社長の了承印の入った企画書を持って、営業3課に戻ってきた。