夜をすり抜けて

樹は車のスピードを上げた。


真っ暗な高速道は宇宙へと通じているようだった。


闇がわたしを飲み込んでいき、だんだんと平衡感覚が麻痺してくる。



「じゃ……死のうか?」


ぽつんと、樹が言った。


「え」


驚いて横を見る。


無表情な彼の横顔からは、何の意思も読み取れない。



「気が変わったら、早めに言って」


そう言うと樹は次の出口で高速を降りて山道へとトラックを走らせた。





ど、どういう意味?


冗談?


それともわたしがウダウダ言うから、懲らしめようと思った?

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