*恋の味[下]*
……――それから2時間後。
「終わったぁぁ!」
「はっ?マジかよ…」
終わりましたよ!やっと!
叫んだ私を見て、唖然とする我が父。
「て、手伝ってもらえませんか?」
「あぁん?」
手伝えだと…?
ふざけんなコラ。
こっちは、やぁぁぁーっと終わったって言うのによぉ?
威嚇する声と表情をする私に、一瞬ビクッとして、
「ジョーダンジョーダン!ジョークだよ!アハ…ハハ……」
とわざとらしく笑いながら手をむやみに動かす。
おい、それでも元総長かい?
すっかり下っぱになってるよ…。
蹴人さんたち…。この姿、天国から見てるかな?
見てるよね、腹かかえて笑ってるんじゃないかな?
焦るお父さんを軽く笑って、ベランダに出た。
今日も空は青く澄んでる。
雲一つない快晴だ。
あまりにも綺麗な空に見惚れて、時間なんか気にせず、ただ無の感情で見上げていた…。