とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~





今までの右京ならそうは言わなかっただろう。



明らかに記憶を無くしてから右京の何かが変わっていると忍は感じた。




「まるで普通の人間みたい…」



「はぁ?なにそれ…」




右京はクスッと笑うと前髪を掻き上げた。



ちょっとした動作に色気を感じる。




こういう所は相変わらずなのにな…




オッドアイになってしまった時点で普通じゃないのだが、気になるのはあの背中の大きな傷だ。



背中の半分以上…丁度6枚の翼があった辺りだ。



おそらく右京はルシファーとの闘いで翼をもがれたのでは…と忍は思う。



翼が無く、番人の役も剥奪された彼は“人間”と何が違うのか?



忍がじっと見つめていると、それに気付いて右京が笑った。




…楽しそうに…




右京にとってどちらがいいんだろう…?



以前、本人は“人間になりたい”と言っていた。



それでホントにいいのか忍には判らない。




人間として生涯を供に過ごせたらどんなに幸せか…。




でも…




漠然とした未来に言い様のない不安。





─どうか右京が遠くへ行きませんように─




忍は繋いだ手に力を込めた。




   ◇◇◇◇◇◇◇◇



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