とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
─まだ持ってたのか…
数年前、自分がイギリスに渡る前に忍が欲しいと言って当時も手帖に挟んでいたのを思い出す。
それが挟まっていたページは今日…厳密には昨日のページだった。
“右京、暴走。一瞬別人の様…チカラ、復活少し自暴自棄。”
夜中に起きていたのはこれを書いていた為か…
─“一瞬別人の様”…か…
やっぱり忍もそう感じたらしい。
右京は手帖を閉じて元の場所に戻した。
右京が隣に潜り込むと忍が寝返りを打った。
「…忍?…」
んー…と寝ぼけた声を出したが起きない。
それが可愛くて右京は独り笑いを堪える。
シャツがはだけた細い肩にキスを落とす。
全く起きない忍を見て“何処までやったら起きるのか”と疑問に思う。
そっとシャツを引っ張って露になった背中にキス…
小さく「ん…」と聞こえたがまだ起きない。
右京は調子に乗って忍の身体のあちこちにキスを落とした。
肩…背中…腕…首…耳…
そして胸にキス─というか軽く舐めたのだが─したところで忍が飛び起きた。
「なッ…何してんのよ!」
「忍と遊んでんの。」
ニッと笑う右京に忍は恥ずかしそうに顔を赤らめた。