とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~





「遊んでよ、忍~」



「きゃッ…ちょ…!?…あははは!くすぐったい!」




不安を消し去る様にベットでジャレ合う二人。




「…忍…一緒に帰ろう。」




そう言う右京に忍は満面の笑みを返した。




二人の唇が触れ合う寸前でドアを叩く音に邪魔される。




「…またこのパターンか…」




右京のぼやきに忍はクスッと笑って「右京が出て」と言って鼻の頭に軽くキスをした。




「はいはい、仰せのままに!…服着ろよ?」




右京は溜め息をつきながらドアを開けた。




『おはよう、ニック…』



『おはよう、クロウ!…お前ら朝からうるせーよ!』




文句を口にするニックは笑いながら右京の銀髪を撫でた。




『記憶…戻ったか?』




『大分な…。とりあえず、忍と一緒に帰国するよ。』




『ああ。イギリスにも来るだろ?』



『ん…大学くらい卒業しときたいし、それに─』



右京はニックを真っ直ぐ見て口角を上げた。




『それに、俺の“やるべき事”がまだイギリスにあるだろ?』




ニックは右京に手を差し出す。




『ああ…よろしく頼むよ。』




右京はその手をしっかり握り返した。




『完全復活じゃないけど…やるだけやってみるよ。』






数日後、忍は手帖にまたその日の出来事を書き込んだ。







“─右京、帰国。─”







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