とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
ゆっくり近付く右京にトップは逃げ出した。
「逃がすかよ!」
右京は人間離れした跳躍をして男の背中に膝を着いて着地した。
「首じゃなくて助かったな…」
首に膝が当たっていたら恐らく本当に息の根が止まっていただろう。
トップの男は右京の下でジタバタともがいた。
「…あ~教えてやるよ。ここでは俺がルールだ。歯向かうヤツは許さない。」
解ったか?と聞く右京にトップの男は泣きながらコクコクと頷いた。
ゆっくりと立ち上がった右京から逃げる男にゴウが「災難だったな」と手を差し出した。
「な…な…なんなんだアイツ…!」
「聞いた事ないか?“守護神”だよ…」
「あれが…!?」
銀髪を靡かせて店に戻る右京の後ろ姿を見つめて男は首を振った。
守護神なんてもんじゃない…!
まるで“悪魔”だ!!
そうじゃなかったら“修羅”とでも言うべき存在…
「あれは…銀色の修羅だ!!」
この出来事の後、“守護神”は裏では“銀の修羅”と呼ばれているらしい。
“ファントム”では「絶対にヤツを怒らせるな」と噂になった。
だが右京はその話を聞いても大して興味が無さそうだった。