とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
入口に居たゴウが右京の肩を掴んで引き留めた。
「アイツ、“ファントム”ってチームのトップだ。二度と店に来ない様にしてくれ。」
「了解。息の根止めてやる。」
「いや…それはマズイだろ…」
「冗談だよ。」
ゴウは右京の冗談が冗談に聞こえなくて少し不安になった。
右京を取り囲む様に連中が構える。
…4人か…
右京はスッと指を一本立てた。
「1分だ。ジンヤ、時間を計れ。」
ジンヤが返事をする前に「舐めんじゃねぇ!!」と飛びかかって来た。
右京は拳が当たる寸前で身を屈めると思いっきり男の胸に腕を突き出した。
一撃で失神した仲間を見て唖然とする男達に右京は顎軽く動かして「来いよ」と挑発した。
罵声を飛ばしながら二人が同時に右京に向かって来る。
突き出された拳を手の平で受け止めるとそのまま握り潰す。
バキバキと鈍い音が聞こえて男の悲鳴が響き渡った。
横からもう一人が大して威力のない蹴りを右京に見舞う。
「…なんだ、それ…」
落胆した右京は「蹴りはな…」と言うと長い足を振り上げた。
顔面にヒットして血飛沫が上がる。
「…急所を狙え。」
のたうち回る二人に“トップ”と言われた男が震え出した。