とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




なるほど。…男を駒に加えたのか…。




右京はビールを飲み干すと女に『ありがとう』と微笑んでみせた。




─バージ。そいつを外に誘い出せ。




階段へと向かう右京に女は『気が向いたら電話して』とメモを渡して人混みへと消えた。




階下からバジリスクを見上げると、青白い顔の男の腕に手をかけたところだった。




『私と遊ばない?』とすれ違い様に声をかけてきた女にさっき貰ったメモを渡して目を細めた。




勘違いしてキャアキャア騒ぐ女を無視して出口へと向かう。




『おまッ…悪魔のようだな…』




監視カメラからその様子を見ていたらしいロイの呟きに『俺は何も言ってねぇよ?』とシレッと答える。



インカムからアランのクスクスという笑い声が聞こえた。




『それより今からバージが男を誘い出すぞ。多分ストリゴイだ。』




『根拠は?』




『常連が言うにはあの男、ゲイだそうだ。なのにバージに言い寄って来るのはおかしい。』




恐らくクドラクは例の障害事件で自由に動くのが難しくなったんだろう。




つまり、あの男はクドラクに“餌”を運ぶ忠実な僕だと考えると合点がいく。




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