とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
「谷地さんの彼氏にも会ってみたいです。」
結構気の強い彼女と付き合っているのだから、優しい人なんだろう事は想像出来た。
だが、谷地が男と…特に彼氏と居る図が想像出来ない。
「じゃあ、年末お互いの彼氏も交えて飲み行く!?」
「いいですね!飲み行きましょう!」
谷地の提案にテンションが上がる。
笑い合う二人に「おーい」と編集部の先輩が呼んでいるのが目に入った。
「黒崎~!新庄さんが探してたぞ~?」
「はーい。お昼食べたら行きます~」
せめてランチくらいは仕事から解放されたい。
「そうよ、お昼まで仕事する必要ないわ!しっかり食べてから、ゆ~っくり行ってやればいいわ!」
同じ思考の谷地に忍は「ですよね!」と笑った。
しっかり昼休憩を取ってからデスクに戻ると、愛用のビジネス用のスケジュール帳を手に新庄のデスクへ向かう。
「お呼びでしたか?」
「ああ、黒崎~!探したよ~」
新庄がちょっと真面目な表情をしたので忍もつい構える。
「黒崎。大事な仕事をお前に任せたい。」
「えっ…私で大丈夫でしょうか…?」
新庄が唸りながら頷く。