とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
「…黒崎。お前を忘年会の幹事に任命する。」
「………それのどこが大事な仕事なんですか?」
「大事な仕事だ!この年末の慌ただしい中、“忘年会を何処でやるのか”…それによって職場全体の覇気が上がるか上がらないかがかかって来るんだ!!」
「…そうですか…」
半ば呆れて反論する気も失せる。
「ちなみに今年は慰安旅行を兼ねて、俺は温泉がいいな~と思うんだが、どうかな?」
「そんなに温泉がいいなら新庄さんが幹事すればいいじゃないですか…」
忍は思いっきり深い溜め息を吐くと「判りました」と答えた。
「温泉で忘年会を計画すればいいんですね?」
「いや、温泉じゃなくてもいいんだよ?みんなの意見も聞いてくれ。…俺は温泉がいいな~ってだけだから!」
つまり通訳すると「皆に温泉で忘年会をやる事を納得させろ」という事だ。
─仕方ないなぁ…
「年末は皆プライベートも忙しいですから、早い時期なら何とかなるかもしれないですね…」
忍は手帳を見ながら悩む。
「12月中旬で場所探します。」
そう言って立ち上がると仕事へ戻ろうとする忍を「そういえば…」と呼び止めた。