とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
『あのクドラクがクロウにベッタリなのも、“相性”が良かったからだろ?』
『だぁぁぁぁぁ!止めてくれ!吐き気がする…!』
─そんな“BL”じみた事…いや、バンパイアだから“VL”か?
…じゃなくて!
俺には忍が居るのに知らず知らず“浮気”してた事になるのかよ~!?
悶絶する右京にロイは腹を抱えて笑い出した。
『ぶぁ~か!冗談だよ!』
『とにかく!クドラクが妙な真似しない様にクロウが責任持って何とかするように!』
そう言うアランに右京は素直に『はい…』と答えるしかなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
右京がアパートを出てから暫くして来客を知らせるチャイムが鳴った。
『来た来た。』
跳び跳ねるように入口に向かうニコールに忍は眉を寄せる。
『いやに嬉しそうですね…』
『そりゃ、俺のエンジェルの帰還だし~』
─俺のエンジェルって…
ニコールは目尻を目一杯下げたデレデレの顔で来客を出迎えた。
入って来たのはブロンド美人と、右京ソックリな銀髪をした少女だった。
少女は忍を見て驚いた表情をして顔を赤らめた。