とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
『その“ヴォイニッチ手稿”だけど…“名前のない本”だけじゃ解読出来ないものがあると思うんだ。』
『根拠は?』
『今追ってる聖杯が恐らくそれだよ。
リッチフィールド家の庭園の石碑に刻まれた暗号も解読不可能…
“アルカディアの牧人たち”の石碑にあったろ?』
『“我はアルカディアにもある”…つまり他にもヒントがあるって言いたいのか?』
アランは『一理ある』と頷いた。
『けど、そんな事言ったら幾つヒントを集めたら解読出来るの!?』
シンディがそう問いかけると右京はきっぱりと『3つだ』と答えた。
『昼間言ってた“三位一体”ね?』
『あ~ウィンチェスター大聖堂か。』
ダンは低く唸りながら『じゃあ』と疑問を口にする。
『その3つは何かが鍵になる。』
可能があるものは…
“ヴォイニッチ手稿”
“リッチフィールド家の石碑”
…あとは?
『あの…ちょっといい?』
一瞬の静寂の中、忍がおずおずと口火を切った。
『そもそも、“アルカディア”ってどこ?』
『二通り考えられるな。
ひとつはギリシャの地名。もうひとつは“ユートピア(理想郷)”だ。』
忍は『実在するんだ…』と呟いた。