とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




『それについてはロイに後で軍のデータベースを調べて貰うよ。
…ギリシャの方は?』




アランの言葉にシンディはちょっと首をすくめて『こっちも似たような物よ』と溢した。




『ただ気になったのは“ヘラクレスの柱”ね…。』




それはジブラルタル海峡にある古代の地名だ。




『伝承ではヘラクレスの柱は、地球の異なる地域に通じる門だって言われてるわ。』




『確かにそこに聖杯があるという説もあるね…』



『あの…ちょっと宜しいでしょうか?』





そう発言したのは今まで静かに聞いていた潤だった。




『多分それはないと思います。』




『何故?』




『あの辺り海は海流の影響で海藻が溜まりやすくなってるんです。
ですから昔から船があそこに流れ着くと永遠と漂流する事になるんですよ。』




大量に溜まった海藻で海の水は固体化し、船は身動きとれなくなる。




やがてその船は朽ちて沈んで行くのだ。




…まるで底なし沼のように…。




『異なる世界に繋がっているのではなく、単に船諸とも海底に沈んでいるのです。
ですから聖杯とは無関係でしょう。』




水を司るこの悪魔の言葉にアランも『なるほど』と納得せざるを得なかった。




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