とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
『丁度アルカディアの山岳部からジブラルタル海峡が見えたから、もしかしてって思ったけど…関係なさそうね。』
シンディは少し肩を落としながらそう呟いた。
残るはここローマだ。
『どーする?ボス…』
右京の言葉に少し考えているのか、暫く沈黙が続く。
が、やがて意を決したようなアランの声が響いた。
『時間もない…か。よし、ちょっと強行策に出る。』
─いつもほとんど強行策だろ…。
内心そんな事を思いながらアランの言う策に耳を傾ける。
『狼人達も多分活発化するだろうから基本、動くのはクロウとクリスに限定する。』
潤が護衛についている忍はともかく、シンディとニックは完全に足手まといだから仕方ない。
『シンディは本部と現場のオペレータ、ニックはシノブとニコラ・プッサンの方面から調べてくれ。』
いつものアランの凛とした指揮に自然とやる気が増す。
『用意が出来たら知らせてくれ。』
それを合図に皆ワラワラと散って行った。
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