とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
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それから忍達は、年末には谷地の彼氏とも会って4人で飲んだ。
年越しはやっぱりAXLEで皆と過ごし、年始は家族揃ってのんびりした。
あっという間に右京はイギリスに戻ってしまい、直ぐにまたいつまの生活を送っている。
「谷地さん、最近彼氏とどうですか?」
「別に変わりないわよ?…って、なんか前にもそのセリフ聞いたわね…」
屋上でランチをしながらいつかしたような会話を繰り返す。
「右京君は元気?」
「多分…最近卒業後の進路で迷ってるみたいです。」
さすがに右京の進路にまで口出すつもりはないが、ニックから聞いた話だとイギリスでの就職も視野に入れているとか…。
“卒業したら、一緒に暮らさない?”
そう言っていたはずだが錯覚だったか…?
「そういえば、異動を申し出をたんだって?」
「ああ、はい。って言っても編集部内でですけど。」
ニックの担当をする傍ら、国内での記事を書いてみたいと新庄に願い出たのは先週の話だ。
「すぐ寿退社するんじゃないかと思ってたけど…意外と忍って根性あるわよね~!」
そう言う谷地に忍は「それだけが取り柄です」と笑った。