そばにいて
「…?薫子さん…?」
薫子さんはクシャリとなった紙を机の上にポトリと落とした。
「…薫子、どうしました?」
龍之介さんは心配になったのか薫子さんのそばに行った。薫子さんは、ゆっくりと龍之介さんを見上げて静かに呟いた。
「…東雲華のところに連れてって」
薫子さんはそう言った後、龍之介さんの持ってきた着物を持ってまた奥の部屋に行ってしまった。
僕は、薫子さんがクシャリとした書類をもう一度見た。多分薫子さんは特徴のある文字に見に覚えがあるんだと思う。その文字は、多分日本語ではない。英語の筆記体のような文字。
僕はこっそりとその書類をポケットに入れた。