クロッカーの金庫



王子様が19歳になられ、誕生日パーティーが開かれた時のことです。

王子様にありとあらゆる珍しいものを見てもらい、自分を気に入って貰おうと、国中から自慢の品を持ってくる民が城に訪れます。
その中に二人の旅人がいました。

一人は今にも倒れてしまいそうなよぼよぼのお爺さん。
もう一人は王子様と同じくらいの年齢の少女でした。

王子様と女王様は最初二人が目の前に現れた時、不思議に思いました。

何故こんな二人が来るのか?と。

今まで出てきた者たちは金持ちや自分の腕に自信のある大男だったりしたからです。



「そなたたちは何を見せてくれるのだ?」



女王様が二人に言いました。

その言葉にニヤリと不気味に笑ったのはお爺さんの方でした。



「わしらは二代目との生前の約束を果たしに来たのですぞ女王様」

「父様との?」



お爺さんの言葉に反応したのは王子様。
それはそうです。
王子様は何も聞かされていません。





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