無愛想なCinderella
しかし、事件はその昼休みに起こった。
―――私は、お昼ご飯だけは決まった時間に食べることにしている。
今日もそのルール通り、会社近くのパン屋に出かけるところだった。
パン屋に向かうには本社ビル前を通らなければならない。
私はそのとき、昨日の変人も今朝の先輩の話もくっかり忘れていた。
「………桐生さん!」
本社ビルの前をちょうど通り過ぎる頃、そう呼ぶ声がした。
何も考えずに振り返ると、そこには昨日の変人がいた。