チェリーガール

彼は雪男

シンと静かな教室。


私の横の通路を試験官が歩いて通り過ぎる。


机に置いてる腕時計を見た瞬間。


ジリリリリリリリリリリリッ!


試験終了を告げ知らせるベルが鳴った。



「はい。じゃあ、やめて。後ろの人から順番に前の人に解答用紙を渡して前まで回していってください」


スーツを着た男の試験官が生徒たちに指示を出す。



やっと、終わった……。


今日、一日長かった。


めちゃだるくて死にそう。


後ろから解答用紙が回ってきたから隣の席にいるたまきの方を見た。


たまきは、腕で顔を隠して伏せていた。


し、死んでるっ!?


まさか……ね……。


試しにぐらぐら揺り動かしてみた。


すると、顔を上げた。


「え……ここ……学校……?」


ね、寝ぼけてる……。


試験で寝てたの?


ってか、その爪何?


目がチカチカするほどド派手なネイルをしてる。


今日、模試だよ?


わかってる?


完全に舐めてません?



「あー。もう、終わったんだ。やった。帰れる」



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