Circle of Happiness ~幸せの輪~
泣き出した母さんより、祈が気になる。

部屋に戻って、祈の部屋から聞こえてくる声に耳を傾ける。

「死なせてなんかあげないんだから!」

やめてくれ。

お前がそんな事言ったら、祈は絶対に泣けないじゃないか。

溜め込むじゃないか。

吐き出させてやってくれよ。

もう疲れたって言わせてやってくれよ。

お前らが、周りがそういう事言うから、あいつはまた溜め込む。

溜め込んで溜め込んで、それでも吐き出すことはしない。

何も言わないでやって欲しかった。

苦しめるような言葉、かけてほしくなかった。

それ以上苦しめないでやってくれ。

泣かせてやってくれよ。

疲れたって、叫ばせてやってくれよ。

そしたら祈は、『死にたくない』って感情だけになって、

自分の気持に向き合えるようになるのに。

抱きしめてやってくれればよかったのに、

言葉なんて必要なかったのに。

なんでわざわざ、皆してあいつの苦しむことばっか言うんだ。

あいつの本心見抜いてやってくれよ。

いつの間にか涙が流れて、

止まらなくなった。

病気が、あいつじゃなくて俺だったら良かった。

そんな事思っても、願っても、

誰も変えてくれない。

俺が死んだら、祈に心臓やれるのか?

だけどきっと、俺の心臓なんて祈は受け取らない。

誰が何を言っても、受け取ってはくれないだろう。

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