お母さんを買う日



中学三年間はハンカチとカーネーションをセットでお店で貰えるメッセージカードに『いつもありがとう』と書いて渡した。

家事は弟と分担して、ケーキは高いから父親に任せて、とりあえず母の日は母の日らしくイベントモードにしていた。


高校生になるとアルバイトを初めて多少はお金にゆとりができたから、

ありがちに高一はバスセットをあげたり、高二は友達を真似て口紅をあげたり、高三はピアスをあげた。

家事はもちろん分担したしケーキは相変わらず父親が買う義務となっていた。


そうしてプレゼントは高価になって料理のクオリティーも上がったけれど、

メッセージカードは既存の可愛い印刷モノを添えるだけになっていた。

それが意味することに気づいていやしなかった。


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