鉄の救世主(くろがねのメシア)
そんな中、麗華は単独任務を帯びて、とある場所へと一人向かっていた。

強張る表情。

ぎこちない足取り。

緊張しているのは一目で分かった。

自分のような未熟な隊員でこの任務が務まるのかどうか。

自信などない。

しかし、人々の笑顔の為に。

確固たる決意を持って、麗華は任務の場へと赴く。

門を潜ったその先には。

「あー!きたー!」

黄色い帽子を被った数十人の子供達。

その姿はさながらヒヨコの群れだ。

子供達は保母さんに促され、声を張り上げる。

『じえいたいさん、ありがとう』の段幕と共に。

「じえいたいのおねーさん、ありがとぉおおぉぉっ!」

「……っ」

今日の任務はいつもと勝手が違う。

園児の勢いに、麗華は思わずたじろいだ。

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