鉄の救世主(くろがねのメシア)
そんな麗華に。

「ヘリは一機だけなのかっ?」

若い男性が詰め寄った。

「まだ避難しなきゃいけない人がたくさんいるんだ!一機だけじゃ足りねぇよ!」

「ええ、わかっています。これから順次ヘリが…」

言いかけた麗華に。

「何のんびりしてんだよ!」

男性は怒号を上げた。

「どうしてもっと沢山のヘリで来ないんだよ!これだから戦術自衛隊は!戦争ごっこばっかりやってて、肝心な時は役に立たないな!」

「……」

返す言葉がない。

麗華も、豊田も、小川でさえも。

苛立つこの男性に罪はない。

勿論小川達も懸命に行動している。

しかし想定外の災害に対して、人間は後手後手になるしかなかった。

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