鉄の救世主(くろがねのメシア)
「第三波、空自と海自の連携によって迎撃成功、地上への被害ゼロです!」

通信を報告する豊田。

避難所にいた被災者達が、歓喜にワッと声を上げる。

「そうか…っ」

普段表情を表に出さない小川も、この時ばかりは安堵の溜息をつく。

そんな中。

「!」

麗華の迷彩服のポケットの中で電子音が鳴った。

携帯電話。

休憩中だった事もあって、先程まで私物の携帯で家族にメールで連絡を入れていたのだ。

彼女は返信されてきた母親からのメールに目を通す。

『こちらは無事避難所に到着しました。心配要りません。麗華はどうですか?危険な任務に当たっているのでしょうか?とても心配です』

…戦術自衛隊にも家族がいる。

彼女達もまた守るべき者、守りたい人がいるのだ。

『妈妈(お母さん)、私は大丈夫』

麗華は中国語を交えたメールを返信する。

『早く任務を済ませて、笑顔で戻ってきます。安心して待っていてください』

< 58 / 109 >

この作品をシェア

pagetop