鉄の救世主(くろがねのメシア)
第四波の隕石は、第一波の次に質量を持つものだった。

第一波ほどの被害は与えないにせよ、落着の衝撃で地面は抉れ、粉塵が舞い上がり、落着現場周辺は大きな爆発と火災に見舞われる。

周囲に人がいなかったのは不幸中の幸い。

だが。

「こっちです!こっちに避難して下さい!」

豊田と麗華が避難所から被災者達を移動させる。

落着現場が避難所から程近い事もあり、彼女達は被災者達を安全な場所へと誘導していた。

近隣の小学校の体育館ならば、大勢を収容できるし雨風もしのげるだろう。

被災者達を小学校へと案内する麗華達。

そのそばを。

「避難所なら安全だって言ってたじゃないかっ」

幼い男の子が呟きながら歩く。

…その言葉に、悔しさを堪えきれず麗華は俯いた。

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