鉄の救世主(くろがねのメシア)
小川は無言のまま二人を見る。

戦術自衛隊にも、女性隊員は僅かながら存在する。

だがこの豊田や麗華のように、男に負けないだけの活動をしている者はごく僅かだ。

男の隊員でさえ、その過酷さに音を上げる事もある戦術自衛隊の任務。

任務どころか訓練にさえついて行けずに辞めて行く者もいる。

その事を考えると、豊田も麗華も泣き言一つ言わず、よく小川について来ていた。

「遠慮しないで下さい。少しの間なら私と豊田さんでも大丈夫です」

笑顔を見せる麗華。

彼女とて疲労困憊だろうに…。

「すまない…ならば30分…30分だけ…」

小川が言うと。

「一時間ですっ。ゆっくり休んで下さい」

二人は微笑みながら小川を送り出した。

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