鉄の救世主(くろがねのメシア)
「小川分隊長」

カップを握り締めたまま、豊田は俯く。

「私達は無力なんでしょうか?日々の訓練も、被災地に派遣された事も、全て無駄な事なんでしょうか?」

「豊田さん…」

そばで聞いていた麗華が何事か言おうとするが。

「わからん」

それを制して、小川が言った。

「いくら訓練を積み重ねたといっても、我々も人間だ。自然には勝てないし、救えない命もある。人間の力など微々たる物だ。どんなに努力しても、届かない事などこの先幾らでもある」

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