━ Are You Happy ? ━

■眠らない街、暑い夜


主治医と救急隊員は

翔のジーパンのポケットから財布を取り

中から原チャリの免許証を抜いたのを見てすぐ


私は病院を飛び出した


オオゴト になることは必至





翔はそれを見越して

私を帰らせようとしてたんだとわかったから


急いで飛び出し


知らない番号から鳴り続ける携帯の電源を落とした





終電もない


お金もない





よく知らない場所から

家の方向に足を向けた





夜の街をひとりで歩くことが


すごく怖くて


勝手に涙が溢れてきた





長く

暗い道は


果てなく 永遠に続いてるような気がして


目的地に辿り着けるのかと


気が遠くなった





それでも


一歩 一歩


足を前に出す





時々

自分の歩いて来た道程を振り返る


さっき

横を通った コンビニが

随分 遠くに見えた








こんな時間でも

大通りは車が列を作り


まばらに人は行き交う





私たちが血を流しても


何も変わらない





翔が貸してくれたシャツは

翔の傷 で汚れてしまった





シャツの色は


こんな簡単に変わるのに





世の中は何ひとつ


変わらない





うるさい雑音は


うるさい雑音 でしかない





私たちが必死にもがいても


どこかに疑いを残し


白 か 黒 かを決めたがる


グレー という答えは


認めてもらえないんだ











私たちは


多く語らなくても


わかりあえるよ








私と翔は


『気持ち悪いくらい…似てる』








眠らない街で


翔の言葉が染みた


暑い夜


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